建物、特に借地借家法の適用を受ける建物の賃借権をいう。賃借人は、家賃支払の義務を負うが、借地借家法は、建物賃借人がその引渡しを受けていれば、建物の譲受人等に賃借権を主張しうるものとし(借家権の対抗力)、賃貸人からの解約の申入れや期間満了後の更新拒絶には正当の事由を必要とし(借家契約解約の正当事由、借家契約の更新)、さらに契約終了の場合には借家人からの造作買取請求権を認める(借地借家法13条)等、借家人に強い保護を与えたので、これを借家権と呼んでいる。なお借家権は相続の対象となるが、相続人がなく内縁の妻などが借家人と同居していたようなときは、その同居人が借家権を承継する(同法36条)。