期間の定めのない借家契約において、賃貸人が解約申入れをするについで必要とされる事情をいう(借地借家法28条)。期間の定めのない賃貸借契約において、民法上は各当事者がいつでも解約の申入れをすることができ、建物の賃貸借は3カ月後に契約終了する(民法617条)。しかし、借地借家法では、建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした日から6カ月後に契約終了する(借地借家法27条)が、その場合正当な事由があると認められなけれぱならない(同法28条)。正当事由とは、社会通念上妥当と認められる事由のことであるが、具体的には、賃貸人及び賃借人が建物を必要とする事情のほか、建物の賃貸借の従前からの経過や利用状況等によって判断され、立退料の提案も考慮されるとしている。しかし、借主の建物を必要とする事情も大きく考慮され、そのバランスを勘案して総合的に判断される。