民法上は、売買・贈与契約等の一時的契約と、賃貸借、雇用、委任等のように一定期間継続する契約の両方についで「契約の解除」という用語を用いているが、講学上は、売買契約等、いったん成立した契約を一方の意思表示によって、当初に遡って解消させることをいう。契約の解除は、契約締結の際、一定の事由があるとき解除を認めるという合意をしておいた場合(約定解除権)か、履行遅滞(民法541条)、履行不能(同法543条)等、法定の事由がある場合(法定解除権)でなければ、これをすることができない。解約手付、買戻しの特約のあるときも解除権の留保があったものとされる。契約解除は相手方に対する意思表示でなされるが、履行遅滞の場合にはその前に催告を要する(同法541条)。解除により各当事者は原状回復義務を負い(同法545条1項)、もし損害があれぱ賠償請求もできる(同法545条3項)。なお、賃貸借、雇用、委任等の継続的契約の解除についでは、将来に向かってのみその効力を生ずるものとされている(同法620条、同法条、同法条)。